ハイブリッドクラウドは、オンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウドの環境にわたって、ストレージ、コンピュート、ネットワークリソースを組み合わせ、データやその他のリソースを保護してアクセスできるようにするものです。今日のハイブリッドクラウドでは、エッジデバイスだけでなく、複数のオンプレミスプラットフォーム、プライベートクラウド、パブリッククラウドにわたる本番アプリケーション (従来型、SaaS、クラウドネイティブなど) も実行されます。
また、最新のハイブリッドクラウド環境は、さまざまなデプロイメントモデルや消費モデルを活用するクラウドバックアップソリューションで、データ、ワークロード、アプリケーションを保護するだけでなく、接続や通信も管理します。
ハイブリッドクラウド環境におけるオンプレミスのインフラとプライベート/パブリッククラウドの組み合わせは、個別のビジネスニーズによって大幅に異なります。
企業ITにおけるハイブリッドクラウドの採用は増加し続け、モダンな組織によるエンタープライズストレージ、ネットワーク、コンピューティング環境の構築、管理、保護の方法を牽引しています。今日のハイブリッドクラウドモデルは柔軟性とセキュリティを兼ね備えており、組織はワークロードを実行する場所を自由に選んでコストの最適化、パフォーマンスの最大化、コンプライアンスのニーズの充足を実現しながら、コスト効率、セキュリティ、信頼性の高い方法でデータとアプリケーションを保護できるため、人気が高まっています。
ハイブリッドクラウドのメリットとして、以下の点が挙げられます:
世界中でますます多くの業界がハイブリッドクラウド戦略を採用しており、その多くが近年のパンデミック時にその利用を加速させています。以下に、ハイブリッドクラウドを活用している業界を紹介します:
ヘルスケア – パンデミック時、医療プロバイダーはクラウド全体でさまざまなアプリケーションやサービスを使用する遠隔医療を急速に加速させました。例えば、スケジューリングと請求サービスはパブリッククラウドで実行しながら、保護対象保健情報 (PHI) はプライベートクラウドでセキュリティを維持しました。
政府機関 – 行政サービスの向上とコストの削減を目指して、ハイブリッドクラウドインフラを採用する連邦政府、国、州、地方自治体機関が増えています。例えば、ケースワーカーはパブリッククラウドにあるアプリを使ってレポートを提出しますが、このレポートはハイブリッドクラウドバックアップを使って保護され、安全に長期保持されています。
金融サービス – 銀行やその他の金融機関は、ハイブリッドクラウドを利用することでコストを抑えながら顧客体験を向上させています。例えば、リテール銀行はロビーのビデオ映像などをコスト効率の良いパブリッククラウドサービスを利用して保存する一方で、機密な顧客データを保護するオンラインバンキングアプリにはプライベートクラウドを利用しています。
小売 – 小売業では新学期キャンペーンやブラックフライデーセールといった季節のイベントのためにハイブリットクラウドを採用し、ピーク時にはより多くのコンピュート、ネットワーク、ストレージリソースを動的にスピンアップしています。オフピーク期間中は自動でリソースをスピンダウンすることができるので、ピーク時の合間に使用されないまま数か月休止状態となる可能性がある追加の管理やインフラリソースをデプロイしたり管理したりすることなく、コストを抑えることができます。
組織は、オンプレミス、パブリッククラウド、プライベートクラウドにわたって、データやアプリケーションのより強固な保護とシンプルな管理を実現するために、ハイブリッドクラウドバックアップを検討すべきです。ハイブリッドクラウドソリューションは、大幅に柔軟性を高め、ランサムウェアなどのサイバー脅威やその他の災害に関連する停止からの復旧を加速させます。
ハイブリッドクラウドバックアップ環境の例として、以下のものが挙げられます:
ハイブリッドクラウドバックアップサービスは、ストレージやコンピュートリソースが必要とされる場所の最も近くに配置される、エッジコンピューティングに依存しているビジネスにとっては特に有効です。ハイブリッドクラウドバックアップは、組織がバックアップと復旧オペレーションのパフォーマンスを大幅に高めるため、エッジコンピューティングで人気が高まっています。
ハイブリッドクラウドバックアップソリューションは、ひとつの統合プラットフォームから、オンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウドにわたって組織がデータとアプリケーションを保護し復旧できるようにするものです。
ハイブリッドクラウドバックアップソリューションは、オンプレミスでセルフマネージドソフトウェアとして、またはクラウドでフルマネージドサービスとして (BaaS: Backup as a Serviceとも呼ばれます) 実行することができます。しかし、どんな種類のデプロイメントモデルを採用したとしても、ハイブリッドクラウドバックアップソリューションは、クラウドだけでなくオンプレミスやエッジ環境にわたってワークロードを保護することができます。
このアプローチは、従来のサイロ化したバックアップソリューションの多くで必要とされた、複数のポイント製品、複雑なオペレーション、サービスを不要にするものです。その代わりに、単一のソフトウェアプラットフォームが、種類や場所にかかわらず、すべてのデータとアプリケーションを管理します。
従来のバックアップやローカルバックアップは、一般的にオンサイトのデータ容量 (通常はディスクベースのハードウェア) で構成され、基盤となるITインフラによって手動で複製されます。これにより拡張性の制限や管理の複雑さが生じ、オンプレミスとクラウドにわたって実行されるすべてのエンタープライズデータを包括的に保護するには、複数のポイントソリューションを実行する必要があります。一方、ハイブリッドクラウドバックアップソリューションは、オンプレミスとクラウドの両方でデータの保護とレプリケーションを実施することができるため、組織はCAPEXや管理費を削減しながら運用効率を上げることができます。
クラウドバックアップは、クラウドサービスプロバイダーを利用して、データ、アプリケーション、ファイルを安全に保存するために使用されます。クラウドのセキュアな場所にバックアップを取ることで、損失、障害、災害からデータが保護されます。
ハイブリッドクラウドバックアップは、オンプレミスとクラウドベースのバックアップソリューションが持つ両方の利点を組み合わせたものです。オンプレミス、パブリッククラウド、プライベートクラウド、エッジのデータをバックアップして復旧することができます。このアプローチは、柔軟性の向上、データ復旧の高速化、高い可用性、データの冗長性をもたらし、最適なデータ保護と事業継続性が実現します。
つまり、クラウドバックアップでは主にリモートのクラウドにデータを保存するのに対し、ハイブリッドクラウドバックアップではローカルとクラウドの両方にデータを保存し、データレジリエンスを大幅に高めてアクセシビリティを向上させます。
ハイブリッドクラウドは、オンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウド、エッジコンピューティング環境のインフラとサービスを包含しながら、ハイブリッドクラウド環境で実行されるすべてのデータとアプリケーションの管理を一元化して保護します。オンプレミス、パブリッククラウド、エッジデバイス、またはこれらのプラットフォームの組み合わせのうちどれを使用するかという判断は、個別のアプリケーションやワークロードが持つ要件によって決まります。このような要件では、パフォーマンス、セキュリティ、コンプライアンスのほか、人工知能や機械学習 (AI/ML) 、高速処理といった特殊機能の必要性が軸となる場合があります。
一般的なハイブリッドクラウドの仕組みは以下の通りです:
ハイブリッドクラウドではオンプレミスのインフラ追加に多額の投資を行う必要なく、必要に応じて簡単にスケールアップやスケールダウンを行えるため、コンピューティングに対してさまざまなニーズがある企業には特に有効です。また、オンプレミス、パブリッククラウド、プライベートクラウド、エッジを単独で使用する場合は実現不可能なレベルのセキュリティ、コントロール、機密データの保護も実現します。
Flexera社の2023 State of Cloudレポートによれば、現在クラウド採用に取り組んでいる企業の72%以上が、ハイブリッドクラウド戦略を採用しています。また、最近のアナリストのレポートによれば、企業のITリーダーは、オンプレミスのインフラは今後もオペレーションにとって重要であることに同意しています。
以下の要件がある組織では、ハイブリッドクラウドの採用率が高くなっています:
組織にとってすべてのエンタープライズデータが等しく重要とは限らないため、ハイブリッドクラウドは組織がデータを管理、保護する上で非常に大きな柔軟性をもたらします。データの中には、より長期間の保護や保持が必要なものもあります。コンプライアンス上の理由から、特定の場所に置かなければならないデータもあります。企業にとってミッションクリティカルなデータもあれば、そうでないものもあります。これらの要因やその他の要因によって、データをどのように管理や保護しなければならないのか、そしてその方法にはハイブリッドクラウドが最適なのかどうかが決まります。
組織がクラウド戦略を加速させ、ランサムウェアなどの新たなサイバー脅威に対して先手を打つことのできるソリューションを探しているため、ハイブリッドクラウドのユースケースは急速に多様化し、増加しています。
ハイブリッドクラウドの一般的なユースケースには、以下のようなものがあります:
ハイブリッドクラウド戦略をサポートする多くのクラウドプロバイダーが存在します:
ハイブリッドクラウドで管理されるデータは組織や業界によって異なりますが、一般的には、VM (仮想マシン)、物理サーバー、データベース、ファイル、コンテナ、クラウドベースとクラウドネイティブのアプリケーション、SaaS (Software as a Service) アプリ、プライマリストレージ、メインフレームなどのデータが含まれます。
ハイブリッドクラウド時代には、データサイロを排除し、データ、ワークロード、アプリケーションの場所を問わず一貫性のあるエクスペリエンスを提供しながらサイバーレジリエンスを大幅に高める、データセキュリティとデータ管理に対する新たなアプローチが必要です。
Cohesityは、最適なハイブリッドクラウドバックアップソリューションを提供します。Cohesityは、データセンター、プライベートクラウド、複数のパブリッククラウドをひとつのデータセキュリティとデータ管理プラットフォームに集約します。このプラットフォームはセルフマネージドまたはフルマネージドのBaaSソリューションとして利用することができ、ひとつのUIで環境全体に完全な可視性をもたらします。
Cohesityを利用すると、企業はハイブリッドクラウドでデータとアプリ (従来型、SaaS、クラウド) のバックアップと保護を最適に行い、コストを削減しながらデータの価値を最大限に引き出せます。さらに、攻撃対象領域を減らすことで企業データのセキュリティを強化すると同時に、オンデマンドでサービスの容量を調整することでデプロイ、管理、運用にかかるコストを削減し、コストの予測可能性とビジネスの機敏性を高めます。
BaaSを含むCohesity Cloud Servicesは、サイバーレジリエンスを強化して総所有コスト (TCO) を下げるため、組織は以下のようなハイブリッドクラウドやハイブリッドクラウドバックアップ戦略を最大限活用することができます: