クラウドバックアップとは、本番データを損失や破損から守るためクラウドに複製して保存するプロセスのことであり、サービスのことでもあります。
組織は、ハードウェアまたはソフトウェアの障害、停止、自然災害、ランサムウェアなどのサイバー攻撃が発生した場合に、データを保護しながらアクセス可能な状態を維持するために、クラウドへのバックアップを選択しています。バックアップソフトウェアもインフラもすべてプロバイダーによってホストされ管理されていることから、クラウドバックアップはBackup as a Service (BaaS) としても知られています。
最新のデータセキュリティとデータ管理戦略において重要な要素となっているクラウドバックアップソリューションは、セルフマネージドのクラウドバックアップを利用するかフルマネージドのBaaSプロバイダーを利用するかを選ぶ柔軟性をもたらし、Microsoft 365やSalesforceなどのSaaSアプリやクラウドネイティブアプリのデータを保護します。クラウドバックアップソリューションは、ランサムウェアなどのサイバー脅威やその他の災害からの迅速かつ確実な復旧を保証しながら、オンプレミスとクラウドの両方のデータを保護することができます。
クラウドバックアップは、本番環境とは別の環境でデータを保護することで、組織のサイバーレジリエンスを高めます。ランサムウェア攻撃の数も深刻度も増しているため、これは特に重要です。Cybersecurityの専門家は、2031年までに企業に対するランサムウェア攻撃が2秒に1回発生すると予測しています。
また、クラウドバックアップではオンプレミスのインフラとその調達費用が不要になるため、バックアップインフラの総所有コスト (TCO) 削減にも繋がります。クラウドバックアップソリューションは、時間のかかる管理や運営ではなく、データのさらなる活用やイノベーションの推進に注力できるようITスタッフを解放することで、運用費の大幅な削減にも繋がります。
モダンビジネスが成功するかどうかは、オンプレミスやクラウドなど、データがどこにあってもインサイトを獲得できるかにかかっています。企業はクラウドネイティブやSaaSの利用を加速させているため、クラウドネイティブやSaaSのデータをオンプレミスのアプリのデータと同じように保護するための戦略やソリューションが必要です。しかし、保護や分析のためにクラウドのデータをオンプレミスに戻さなければならない場合、移行、セキュリティ、コストの面で多くの課題が発生します。このため、オンプレミスのデータだけでなくクラウドネイティブやSaaSのデータも保護しながら、データの管理や、分析、コンプライアンス、その他のビジネス活動のためにデータからより多くの価値を引き出すことが簡単に行える、包括的なクラウドバックアップソリューションの必要性が高まっています。
クラウドバックアップに投資する組織には、以下の選択肢があります:
これらの選択肢を念頭に置きながら、組織は以下の検討事項を使い、最適なソリューションを評価、比較することができます:
堅牢なクラウドバックアップソリューションは、以下を含む環境全体でさまざまなデータソースを復旧できるようにすることで、データ保護をシンプルにしてサイバーレジリエンスを高めます:
最高のクラウドバックアップソリューションは、組織が繁栄して将来のニーズに先回りできるよう、以下のことを実現します:
高速復旧 (特にランサムウェアからの復旧) – データを迅速に復旧する機能は、クラウドバックアッププロバイダーに求められる最も重要な属性の1つです。ランサムウェア攻撃の被害やデータ損失といった不幸な出来事が起きた場合、迅速に生産性を回復できるよう、企業はできるだけ早くデータを復旧する必要があります。
頻繁なバックアップ – データとファイルをバックアップする頻度も重要です。最も細かい単位で復旧するにはバックアップ間隔が短いほど良く、毎時間とか、それ以下とはいかなくても、最低でも毎日バックアップする必要があります。頻繁にバックアップを取得していないと、部分的、あるいは完全にデータを失ってしまう可能性があります。
柔軟なデータ保持 – 30日間保持しておくだけでよいデータもあれば、業務や規制上の要件に応じて数か月または数年保持する必要があるデータもあります。最高のクラウドバックアップソリューションは、最も需要の高い業務やコンプライアンスのニーズを満たせるよう、柔軟なデータ保持オプションを提供する必要があります。
無制限のスケーラビリティ – 今日の企業ではデータの増えるスピードが急速であるため、保護や管理が行えるファイル数やデータ量に制限のあるソリューションは、もはや適切ではありません。最新のクラウドバックアップソリューションのほとんどが無制限に近い容量とスケールを提供しており、ハイパースケールかつ可用性の高いアーキテクチャのおかげでこのような問題は発生しないはずです。しかしながら、投資を行う前に拡張性や管理に関する制限を完全に把握しておくのが賢明です。
使いやすさ – ITスタッフはデータの完全な可視性を実現するため、”Single Pane of Glass (すべての情報を参照できるひとつの画面)”を使って、1か所からグローバルデータ環境全体のバックアップと復旧を簡単に管理できる必要があります。
柔軟な価格設定 – クラウドバックアップソリューションに関しては、ギガバイト単位、ユーザー単位、定額料金プランなどの支払いオプションを提供する柔軟な価格設定で、消費や利用に応じた支払いができる柔軟性が求められます。
ゼロトラストのセキュリティ原則 – 最高のクラウドバックアップソリューションは、どんな行為者、システム、ネットワーク、サービスも適切な検証と認証なしには信用しないよう機能する必要があります。これにより、攻撃対象領域の縮小、迅速な復旧機能の提供、既存のセキュリティツールとの緊密な連携を可能にし、組織はサイバー攻撃からデータのセキュリティを確保し、ビジネスを安全に保つことができます。
一般的に、無料のクラウドバックアップサービスは期間限定サービス (30日間無償トライアルなど) です。企業にとって、金銭的上の約束を事前に交わすことなく、フル機能を備えたソリューションを利用することができます。「フリーミアム」モデル、つまり、制限付きのサービスを無料で利用でき、追加機能を利用するには月額 (または年額) のサブスクリプション料金を支払うモデルで運営しているプロバイダーは少数です。このモデルでは、バックアップ可能なファイルまたはデータ量が制限される傾向にあります。無料のバックアップサービスを利用する場合は、ランサムウェアから復旧する機能など、セキュリティとプライバシーの慣行について検討することが重要です。
無料のクラウドバックアップサービスはソリューションを試すのには良い方法ですが、一般的には企業が成功するために必要となる包括的なサポートを継続して受けるには、より堅牢なクラウドバックアップサービスへお金を払うことが必要です。
クラウドバックアップの費用はさまざまですが、1年以上のサービスを契約すると割引が適用されるのが一般的です。そうは言っても、ストレージ容量、リトリーブ速度、カスタマーサポートの対応時間などといった多くの要因によって価格は変動します。
簡単に答えると、クラウドバックアップはオンプレミスでのバックアップと同じくらい安全です。本番環境から離れたクラウドにデータをバックアップする主なメリットは、物理的な盗難、火災、その他の地域災害からデータをより安全に守ることができる点です。
しかし、クラウドベースのバックアップは、外部のサイバー犯罪者や社内の悪意ある行為者など、データをより脆弱にしかねない他のリスクにさらされる可能性があります。
主要なクラウドバックアッププロバイダーはデータを侵害から保護するために、暗号化、多要素認証、イミュータビリティといった堅牢なゼロトラストのサイバーセキュリティ対策を施すなど、非常にセキュリティを重視しているため安心です。また、オフサイトのクラウドにデータを保存することで、あらゆる場所への迅速かつ確実な復旧を確保してビジネスの中断を避けながら、ランサムウェアなどの増大する脅威に対する保護を強化することができます。
さらに、主要なクラウドバックアップソリューションは、24時間365日体制の監視、管理、レポートを提供し、データとシステムの安全性を確保しています。
クラウドバックアップは、データの安全性を維持してサイバーレジリエンスを強化するための最適な手段として、ますます注目を集めています。また、複雑なインフラへの資本投資の必要がなく、そのインフラを管理するために熟練した人材を雇う必要もないため、費用対効果も高くなります。
ビジネスリスクを軽減するには、適切なクラウドバックアップサービスプロバイダーを選択することが重要です。
以下に、バックアップをクラウドに移行する上でデメリットとなりうる上位3つをご紹介します。
スピード – クラウドバックアップサービスのサブスクリプション契約によっては、アクセスと復旧の遅さが問題になる場合があります。例えば、大量のデータを連続してバックアップしようとすると、ネットワーク速度の大幅な低下やデータ損失のリスクが生じる場合があります。そのため、プロバイダーによっては、本番の業務に支障をきたさないようにバックアップを慎重に計画する必要があります。
高額なデータコスト – バックアップするデータの量が限られている企業向けには、クラウドバックアップサービスを無料または非常に安価で提供するプロバイダーが存在します。一方、大量の情報を保存する必要がある組織がギガバイト単位で支払いを行っている場合、コストが徐々に増大していることに気づくはずです。クラウドのスケーラビリティは事実上無制限であるため、バックアップするデータの量をしっかり把握する必要があります。そうしないと、予想外の高額な請求を受ける可能性があります。
コントロールの欠如 – データの保存や取り出し作業をサードパーティに任せることで自社データのコントロールを失うのではと感じて、クラウドバックアップへの移行を躊躇している組織があります。主要なクラウドバックアップベンダーは信頼できる堅牢なセキュリティとプライバシーを提供していますが、多くの組織はビジネスにとって最も重要な資産を第三者に任せることに消極的です。BaaS、セルフマネージド、MSPを介したフルマネージドのどの方法でデプロイするかにかかわらず、クラウドバックアップパートナーを選ぶ際には入念に検討することが重要です。
データセキュリティとデータ管理のリーダーであるCohesityは、SaaS、クラウドネイティブ、オンプレミスのデータソースを保護するエンタープライズグレードのBaaSを提供しています。組織は、Cohesityのクラウドバックアップを以下のような方法で活用できます:
Cohesityのクラウドバックアップを選択する組織には、以下のメリットがあります:
また、サイバーレジリエンスをさらに強化する方法として、Cohesityはクラウドバックアップだけに留まらず、組織と協力してデータの保護、分類、サイバー保管庫を提供しています。